お子さんが不登校となってしまうと、他の兄弟にも連鎖して登校渋りや不登校になりやすいと言われています。
実際にわが家でも、下の妹たちは不登校となった長男に対して「ずるい・うらやましい」と言い出し、兄弟で言い合い「あたしも行きたくない」と話しお休みした時期もありました。
この記事では、不登校の子に対して兄弟が「ずるい・うらやましい」と感じてしまう理由や、連鎖しやすいと言われている不登校の兄弟へ親ができる対応も紹介しています。
実際にわが家で行った対応も紹介していますのでぜひ参考にしてみてください。
不登校の兄弟が「ずるい」と思ってしまうのは自然なこと
兄弟が不登校となってしまった時、学校に行かなくてずるいな・うらやましいなと思ってしまうのはとても自然なことです。
自分は学校で勉強や苦手なことも頑張ってるし家でも宿題やお手伝いをしているのに…
学校に行っていないと勉強や苦手なことをやらずに、嫌な事はやらなくても良いように見えてしまいずるいな・うらやましいなという気持ちが生まれます。
自分の頑張りを認めてもらいたい、褒めてもらいたいという気持ちから自分が認めてもらえてないと感じると、他がうらやましく感じてしまう事は大人でもあることです。
不登校の兄弟をずるいと感じてしまう理由
勉強しなくても良い
学校には行かず、朝はゆっくり起きて日中は好きに過ごし、宿題など家で勉強する事もしていないと「勉強もしないで良いな」と見られてしまいます。
不登校のお子さんが勉強をしなくても良いということは決してありません。ですが、不登校になってしまうと勉強に取り組む意欲も減り、授業を受けていないことから勉強の遅れが出てしまい、自主学習が出来ている不登校児はとても少ないのが現実かもしれません。
不登校児に勉強の話をするよりは兄弟の宿題を見てあげたり、学校での話を聞いてあげて頑張りを褒めてあげる方が兄弟の不満は減るかもしれません。
家で好きに過ごしている
学校へ行かない時間が多いので、ゲームやTVなど好きにして過ごす時間が多く見られます。
好きな時間におやつも食べれてうらやましいな
学校や習い事から疲れて帰ってきたのに家で好きに過ごしている姿を見ると不満がでるのも仕方ない事です。
親に気にかけてもらえている
不登校児には親が何かと声をかけがちです。
体調大丈夫?無理はしなくていいよ。
学校に行って頑張っている自分にはかけてくれないような言葉かけをしてもらえているのをうらやましく思うかもしれません。
親の関心が不登校児へ集中してしまい自分にはあまり関心が向かないように思えて寂しい気持ちを抱えてしまいます。
自分だって頑張ってるのに見てくれてるのかな…
不登校の兄弟に親ができること
不登校の子は特別なんかじゃない
学校に行っていないだけで不登校の子は特別でもなんでもありません。
お子さんの様子にもよりますが、昼夜逆転やゲーム時間など家庭のルールは不登校に関わらずみんな平等に守るようにしましょう。
保護者は学校に行く・行かないということに気を取られず、お子さんそれぞれが自分で選んだ環境で自分らしく生きていけるよう学び続けるにはどうしたら良いかを支援してあげて下さい。
お互いを認め合えるように!
話を良く聞いて気持ちを受け止めてあげる
親の気持ちが不登校のお子さんに向いてしまうのは仕方ない事です。忙しい毎日ですので、兄弟みんなそれぞれに話をじっくり聞いてあげるのは無理な話だと思います。
・お子さんが話したいことがあるときは良く聞いてあげる
・何もなくてもそばにいる
これだけでも兄弟の不満は減り、安心へとつながると思います。低学年だったら一緒に宿題を見てあげたり、一緒に遊ぶ時間があればより良いです。年齢が上がってくると親とずっと一緒の時間を過ごすよりも、「自分のことをわかってくれている」という認められている気持ちの方が大切です。
わが家はこうして乗り越えた実際の対応
習い事の送迎やお風呂など親子だけの時間を少しでも作る
下の子たちの「自分のことも見てほしい、わかってほしい」という気持ちを満たしてあげるには、少しでも親子の時間を作ってあげると良いと思います。
妹2人は同じ習い事をしているので、送迎時間は長男に気を使うことなく学校で頑張っていることをお話します。お休みの日は何をして遊ぼうか、今日のTV楽しみだねぇと何でもお話します。2人はクラスが違うのでレッスン時間が異なるのでお互いのレッスン中にママと一緒の時間を過ごします。
待ってる間におやつを買いに行ったり、一緒にお散歩したり楽しいよ!
おうちで一緒にダンスを踊ったり、コミュニケーションにもダイエットにも?なってます
もちろん忙しくてなかなか時間が取れないことも多いです。
そんな時は朝家の外まで見送っていってらっしゃいを言ってあげたり、お風呂に一緒に入って特別にジュースを飲んだり、日常のなかでちょっとした時間を作ってあげるだけでも子どもの表情は全然違います。
あれもこれも出来ない時は何もせずただそばに居てあげるだけでも十分です。気持ちが大切です。
休みたいと言ったらじっくりと話を聞く
下の子たちが「学校行きたくない、休みたい」と言ったらとにかく話を聞いてどうして学校に行きたくないのかを聞き出します。
話を聞いていくと、苦手な授業があって休みたい・お友達に嫌な事を言われたなど学校での出来事を話してくれる時もあれば、早く起きれなくてまだ眠い・ママに怒られて気分が乗らないなど学校とは直接関係のない理由の時もあり「学校に行きたくない」と一言でも理由は様々です。
朝の忙しい時間ですのでじっくり話を聞くことができず「元気なんだから学校行っておいで!」と頭ごなしに行かせようとすると余計に反発する場合もありますので、とにかく落ち着いて話を聞いてあげると結果としてスッと学校へ行ってくれることが多いです。
話を聞いてあげて、気持ちが落ち着いたらそのまま学校に行かせますが、どうしても行きたくない!という時は休ませるのも良いと思います。出席するか欠席するかを最後に決めるのはお子さん本人の方が納得してくれると思います。
相談・下の子たちの担任へ不登校の兄のことを共有
スクールカウンセラーに相談
登校渋りの頃からスクールカウンセラー(SC)の先生に月1回、長男の事を相談していますがその時に下の子たちの様子や気になる事、何でも相談しています。SCの先生も不登校の兄弟も不登校になりやすいという統計が出てているので、気にかけてあげることはとても大事とお話してくださいます。
下の子たちの担任に話す
下の子たちの個人懇談の時に「中学2年生の長男が不登校しています」と話しました。
下の子たちの担任の先生は普段からよく子どもたちを見てくださっており、信頼できる先生であったので長男の事も話しておこうと自分で決めていました。
長女6年生の担任
6年生の長女は中学不登校になってしまった長男をみて、中学校に対する不安をたまに話すようになっていました。
そのことを担任へ伝えると
中学校に不安を抱えているのは不登校になってしまったお兄さんを見ているからではないと思います。まだ行ったことのない、知らない学校のことなので漠然とした不安は6年生なら誰でも抱えていると思います。6年生の担任としても、テストが大変なんだよーとか中学生になる心構えみたいなものはだんだんと話しておりますのでそれもプレッシャーに感じているのかもしれません。もし長女さんが不安を話してくれていたらその時々で聞いてあげてください。
何も長女だけが不安を抱えているのではなく、最高学年である6年生は学校内でもたくさんの役割があるのでプレッシャーに感じてしまうお子さんもいますし、だんだんと自立に向けて難しい時期に入ってくるので長女だけが特別ではないとお話してくれました。
次女1年生の担任
1年生の次女は新しい環境に慣れるのが少し苦手です。入学式も不安からか「ママが良い!!」と大泣きしていて体育館へ入ることもできなかった次女。学校生活が始まってからも「学校行きたくないもん」と話すことがたまにあり、学校へ送ってあげたり、保健室へ一緒に行ったりすることが数回ありました。
個人懇談の時に先生から「次女さんが学校行きたくないと泣いている時のお母さんの対応が素晴らしいです」とお話されたので長男の不登校をお話し、私自身も不登校児を経験して色々と学んでいますとお話すると担任はとてもびっくりされていました。
次女さんも長男さんも焦らずで良いと思います。少しずつ成長していっていますので見守りましょう。
とてもベテランの担任の先生で、今は小学生低学年からでも不登校は増えている事、学校も考えていかなくちゃいけない等先生の不登校に対する先生のお気持ちをお話してくれました。
子ども自分で話していた!
これは余談なのですが、長男が不登校になった時に1番下の子はまだ保育園でした。活発でおしゃべりな娘は保育園の担任の先生に長男が不登校になったことを話していたそうなんです。
ある日先生と話をしていて何気ない話から長男の話になったので「今少し学校に行けていなくて…」と話したら先生が「あの・・・実は知っていました。○○ちゃんが”にいに学校行ってなくてママとにいにが泣いてたんだよ”とたまに話をしてくれるので聞いていて心を痛めておりました。」とお話されてびっくりしたことがありました。
保育園の娘にとって長男の不登校は別に隠すことでも何でもないわが家の日常だったのだなぁと思い、当時まだ不登校になったばかりで人に話すのも躊躇していましたが、その話をきっかけに少しずつ人に話せるように自分もなりました。
子どもたちにわかるよう伝える
2歳下の妹の場合
にいに学校行ってないのはどう思う?と聞くと「宿題しなくてずるいなって思っちゃう。」と素直に話してくれました。そしてそんな気持ちを持ってしまうことが悪いと思うようで少し涙ぐんでしまいました。
長女はとても優しいお姉ちゃんなので、長男に直接「学校行かなくてずるいよ」と言ったり長男を責めたりするようなことは言わないのですが、長男が急に泣き出したり怒ったりすることが多かった時期は「自分が泣かせてしまった」と勘違いをして逆に自分が悪いと思っていたようです。
にいにもねえねも悪くないんだよ。心の風邪をひいてるから疲れちゃった時に泣いたり怒ったりしちゃうだけだから大丈夫。もし泣きだしちゃったらそっとしておいてママに教えに来てね。
5歳下の妹の場合
長男が不登校になった時は保育園に通っていたため、朝起こしに行ってもなかなか起きずに学校どうするのか言い合いになって結局学校に行かない長男の様子をよく見ていました。
結局長男が学校を休むとなると「自分も保育園行きたくない」と一緒にお休みする時期もありました。
「にいにばっかり学校休んでずるいじゃん」
妹にそう言われてしまうと長男はますます泣いて反発し、毛布をかぶってしまう事が何度もありました。
にいには「こころのかぜ」をひいているんだよ
なんで学校行かないの?という下の子たちの問いかけに考え抜いた答えは
「こころのかぜ」という言葉でした。
熱が出たらお医者さんにいくようににいには心の風邪をひいちゃったからきちんと心の先生に診てもらってるんだよ。
すぐに泣いちゃったり、怒っちゃったりするのは心の風邪をひいているからだからね。にいにが悪いわけじゃないよ。
にいには一生懸命元気になるようにおうちで頑張っているから今は学校休んでいるだけだからね。
そう話すようにすると下の子たちは納得してくれたのか、学校に行かない長男に対して「ずるい」と言わなくなりました。
まとめ
長男の状態を「こころのかぜ」という言葉で下の子たちに話していますとSCの先生にお話したら
「ばっちりです。お上手!」と太鼓判を押されました。
その後、数か月たったある日次女と学校帰りの時に下校中の中学生と同じになり、「みんな学校頑張ってるんだなぁ」と私がぽつりとこぼした時に次女が
「にいにのこころのかぜはまだなおらないのかなぁ?」と私に問いかけてくれました。
「学校には行けてないけどにいには頑張って元気になってきたから良かったね。」
「そうだね!にいにげんきだもんね!」
そんな会話をしたのを覚えています。長男のことを受け止め、気にかけてくれる次女の優しさに触れることができて心が温まりました。
兄弟が不登校になると、本人が1番辛いのはもちろんですが家族も同じくらい辛く悩み、兄弟は寂しい思いをするかもしれません。
不登校児への対応は気も使いますし、時間もたくさんかかります。ですが、一歩立ち止まることでお子さん本来の在り方が違う視点から見えてくるかもしれません。
不登校は決して特別なんかじゃなく、悪くない。この記事が不登校の兄弟への対応で悩まれている保護者の方の参考になれたら嬉しいです。